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聴覚・音響・音楽心理学の研究室  
   
 
 
京都市地下鉄烏丸線接近警戒音について


平成23年の4月から,京都市営地下鉄烏丸線では電車が接近するときに警戒音を鳴らすことになりました。この警戒音としてどのような音響特性のものがいいのかについて,京都市交通局の方から相談を受け,僭越ながらアドバイスをしました。

実は,相談を受けて開口一番に私が言ったことは「音は出来れば使わないで出来ませんか?」ということでした。ご存じの方もおられると思いますが,同じ京都市営地下鉄でも東西線にはホームドアが設置されていて,地下鉄が構内に侵入したときにホームにいる乗客との接触事故を回避できるようになっています。このような設備があれば接近警戒音はなくてもいいわけです。しかしながら,莫大な赤字を抱える京都市交通局としては,烏丸線にそれだけの投資をする経済的な余裕はないということでした。仕方なく,つけるとすればどのような音が好ましいかということでアドバイスをしました。その時の方針は以下のようなものでした。

(1) 使用する音の帯域はなるべく広帯域とし,話し声やヘッドフォーン・ステレオの音楽などが存在していても,比較的低いラウドネスで聞こえる音とする。

(2) 安直に音楽的な旋律は使わない(音楽を聴いている人に自分の聴いている音楽とは別の音が到来していると分からせるため。

(3) あくまでも「警戒」を促す音なので繰り返しにより,その意味合いを増す。(本気で警告を発したいときは緊急自動車のサイレンのように,緊張を引き起こす音がいいわけですが,電車がホームに来る度にそのような音を流すのは控えたいということでした。確かに,そうです。)

(4) 上り・下りのホームに同時に電車が進入してきた場合でも混同しないように,はっきりと両者で異なるパターンとする。

その方針に従って,デザイナーの方が音を作ったものが流れています。デザインとしてはどこかしら「京都らしさ」を感じさせる音をイメージして作られたようです。